おまえのような幸せな子は世界中どこをさがしたっていやしない

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出典:「新装版 親なるもの断崖」 曽根富美子著・宙出版 梅子の言葉より

[eyes.+編集部より]

この名言の主は、曽根富美子さんによる漫画作品「親なるもの断崖」のお梅。

お梅は愛娘である道夫(みちお)に対し、繰り返し語りかけました。

おまえは幸せな子だよ おまえのような幸せな子はみたことがないよ おまえのような幸せな子は世界中どこをさがしたっていやしない そうらかあさんの背はあったかいだろう
出典:「新装版 親なるもの断崖」 曽根富美子著・宙出版

この言葉には、昭和初期に梅子が経験してきた壮絶な暮らしから、娘の道生の人生を守りたい、幸せになってほしいという強い希望が込められています。

「強く自分の力で道を切り開いて生きていきなさい」
「あなたは、かあさんが過ごした地獄のような場所で生きる必要はないの。かあさんよりも過酷な生き方をしなくていいんだ」

どんな時代でも、どんな場所でも、親が子に願うことは、子の幸せひとつ。

戦前の女性の立場はとても弱いものでした。
太平洋戦争がはじまると、女性たちも子どもたちも戦火に飲み込まれ、ますます苦しい時代を迎えます。

そんな太平洋戦争は、70年前の8月15日に終戦を迎えました。

戦前から戦後の生活を支えた女性たちのおかげで、いまのわたしたちの生活があります。
そんな激動の時代を生き抜いた女性の姿を、いまこそ知ってほしい。
そして、二度と悲劇が起きぬよう、祈りと、誓いを。

平和な世界で、誰もが幸せなだよと言えるような世界を。

あらすじ

お梅は11歳のとき、青森の貧しい農村地から北海道室蘭の幕西遊郭に売られました。
葛西遊郭へ同時に売られた姉は、身を売ることを苦にして自らの命を絶ってしまいます。

大好きだった姉の死をきっかけに、遊郭という特殊な環境で女郎として生きることを決意。梅子の胸には、なんとしてでも生き抜いてやるという意志がありました。

思春期を遊郭で過ごすことで、おとなの世界を早く知ることになり、女性という立場の弱さに悲観しつつ、いつか道が開くことを願い耐える日々……。

そしてついに、「夕湖」という源氏名で葛西一の人気者に。
恋を知っても、嫁いでも、女郎だと偏見や差別に耐えなければならいお梅でしたが、ついに念願の娘を授かりました。
ようやく幸せな家庭を築けると思ったのも束の間、道生を含め、子どもたちも太平洋戦争に巻き込まれてしまいます。

戦中、戦後をみてきた女性たちの生き様を、戦後70周年を迎えたいまこそ知ってほしいと思います。

書籍について

「親なるもの断崖」は、戦後70周年を迎える2015年に電子コミックとして配信され、反響を得ました。
その後、宙出版より新装版としてコミックスが発売。
詳細は公式サイトにて。
新装版「親なるもの断崖」公式サイト
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出典:http://www.ohzora.co.jp/sp/oyanarumonodangai/