なぜ「仕事も育児も100%」にできるのか。2度の育休と降格を経て辿り着いた堂薗稚子のスタンスとは?

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 今回は、ワーキングマザー共通の願い、「仕事と子育ての両立」を見事に実現している女性、株式会社ACT3代表取締役の堂薗稚子(どうぞの・わかこ)さんが今考える「女性の働き方」を見つめます。

ワタシのあの頃
デキる40歳になりたい! でも、育休明けに待っていたのは降格だった

 堂薗さんの20代は、出世欲バリバリ&仕事一直線で駆け抜けました。努力が実を結び、順調に出世、30才で営業マネジャーに昇進。私生活においても、27歳の時に結婚し、順調そのものでした。

 仕事をを頑張りたかったため、すぐに子供を産もうとせず、34歳で第1子を出産。育休からの復帰後、思わぬ大挫折を味わうことに。いざ復帰してみると、待ち受けていたのはマネジャーからリーダー職への降格だったのです。堂薗さんは、すぐさま上司に抗議しましたが、「与えられた環境でまず働いてみろ」と言われてしまいます。

女性は仕事とプライベートを天秤にかけるからいけない。仕事と育児を50%ずつに分けたら、100%の仕事ができないじゃないか。どちらかに軸足を置くのではなく、生産性を倍にして、仕事も100%、育児も100%で頑張るしかないだろ。
(上司の言葉) 出典:http://toyokeizai.net/

と上司からの厳しい言葉。堂薗さんは、

「身に覚えがあったので、ギクリときました。だから、『覚えてろよ!』と、それから1年、すごく頑張りました」
仕事で、言い訳はしない。愚痴は言わない。何があっても人のせいにしない。そう決めた。

出典:http://toyokeizai.net

 今でこそ、女性が社会で活躍するための環境が整えられています。しかし、当時は違いました。少なくとも、今よりも格段に「風当たり」は厳しかったでしょう。その状況下で、「仕事も100%、育児も100%で」という要求に対しての「YES」を行動で示した堂薗さん。それはつまり、「元の自分を倍増させる」ということ。言うは易し、実行は極めて困難です。
 
 ともすると多くの女性があり得ない、成し得ないとして投げ出すようなことを受け止める「素直さ」、立ち向かおうとする「強い覚悟」にわたしたちが学べるものは多いのではないでしょうか。堂薗さん自身も、このときの「悔しさ」がバネとなって、のちの人生を大きく飛躍させることになります。

変わったきっかけ
仕事も家庭も100%! 仕事も家庭も「何も諦めない」で突き進む

 とはいえ、育児と仕事の両立はそんなに簡単なものではありませんでした。夫はもちろん、家事代行会社など頼れるものには何でも頼りましたが、それでも家庭と仕事の間に挟まれ、心が引き裂かれそうになることも。でも、「絶対に両立できる。生産性を倍にしてみせる」、その思いで踏ん張りました。

 やがて努力が実を結び、復帰1年度には再び、営業マネジャーに帰り咲きます。そして、さらにその1年後には、事業部長に昇格。最年少、かつ唯一の女性オフィサーの誕生でした。

 その後、堂薗さんはもう一人子供が欲しいと思い、仕事、育児に加え、不妊治療を始めます。肉体的にも精神的にもつらい時期が続きました。そんな生活を3年ほど続けたころ、晴れて第2子を妊娠。前回同様、育児休暇を取得し、その後、再び復帰。役職は、育休前から3段階降格でしたが、気持ちは晴れやかでした。

ポジションではなくて、ミッションにワクワクできた自分。「上にのぼる」以外の目標をちゃんと持てそうな自分。なにもかも、妊娠・出産や育児や、そういう事情とはまったく関係のない、私自身の実力に帰着させることができた。
出典:http://toyokeizai.net/

 堂薗さんは、「産休・育休中に社会から取り残されるんじゃないか不安です」という質問に対して、こう答えています。

笑っちゃうくらいその通りになります。でも、育休は生き物としての自分を成長させられるチャンス。
出典:http://wotopi.jp/archives/7638

 堂薗さんは、育休中に「仕事に猪突猛進するだけが人生の楽しさではない」と気付いたのです。

 もし、堂薗さんが、「育休をとることによって、社会で失うものなんて何もない」と言うのなら、その言葉はごく一部の誰かを“一時的に”勇気づけたでしょう。
 
 でも、堂薗さんは、そういった“その場しのぎ”の慰めは言いません。「育休をとることによって“失うもの”は確かに存在する。その上で、逆に育休で“得られるもの”に目を向けるべき」というスタンスなのです。
 
 また、“失うもの”だって、言ってしまえば「たかがポジション」。努力次第でいずれ取り戻せるかもしれないし、もっと大事なのはミッションやモチベーション。つまり社会的権威ではなく、心の在り方です。
 
「自分の価値をどこに置く? 肩書きですか? 本当の価値はそこじゃないよね?」いざそのときになったら、そんな自問自答ができるように、堂薗さんの言葉を心に刻んでおきたいものです。

ワタシのこれから
“女子”って面白い! 「道がいくつもある」ことを楽しもう!

女子の“王道”はいくつもあって、正解はありません。
出典:http://toyokeizai.net/

たくさん王道があるからこそ、いつも迷って決めて、それでも後悔して、時に人と比べて落ち込んだり、優越感を感じたり。でも、だからこそ……女子に生まれたことって面白い!と心から思うのです。
出典:http://toyokeizai.net/

欲望たっぷりに、何ひとつあきらめないで手に入れる方法。それは、何事もどこまでもひたむきに頑張る、ということに尽きる、と私は思います。この決意こそ“やったろ感”です。
出典:http://toyokeizai.net/

 「仕事と家庭を両立している」といわれる堂薗さんは、「働く女性にとって出産や育休はデメリットとなる」ということをしっかりと受け入れています。なぜなら誰しも「現実」を無視して「夢」や「理想」ばかりを追い求めることはできないとわかっているからです。
 
 そして、「肉体はひとつで、1日は24時間」という、例外なくすべての人に等しく与えられた条件のもと彼女が目指したのは、「生産性を倍にして、仕事も100%、育児も100%で頑張る」というスタイルでした。
 
 もちろん、目指せば誰もが簡単にできる方法ではないし、そのスタイルを確立できたところで、必ずしあわせになれるかというと、そういうわけでもありません。そんな中、堂薗さんがいま、仕事も家庭も100%の「上機嫌」な毎日を過ごせているのは、すべての責任を環境に求めるのではなく、自分自身の心のセンサーでそれを担うと決めているからなのではないでしょうか。

キラリと輝く名言

女子の王道はいくつもあって正解はありません

新たな “視点” で、
昨日よりもちょっといいワタシに。
 ―――― eyes.+

 

【堂薗稚子さんの名言】
育休は生き物としての自分を成長させられるチャンス。
何歳だって、新しい友達ができる。いつだって、自分の居場所ができる。