過去は変えられる? 『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』から学ぶ、時間の大切さ【前編】

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今回は、2016年7月1日公開『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』(ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン配給)にアリス役で出演するミア・ワシコウスカと、アリスが共に歩んだ成長の過程を見つめます。

ワタシのあの頃
2010年世界的大ヒット作『アリス・イン・ワンダーランド』のヒロイン、アリス役に抜擢! アリスと同世代の感性

1989年のオーストラリアに、ミアさんは誕生しました。
画家の父と写真家の母のあいだで育ったミアさんは、3人兄弟の真ん中。
幼少期はバレエでの自己表現をしていたそうです。

そんなミアさんが女優として活動するようになったのは、2004年のこと。

デビュー直後から、オーストラリア映画協会賞新人女優賞にノミネートされるなど、演技派女優としての頭角を早々にあらわしていたミアさんですが、ハリウッド女優としての名を知らしめたのは、2010年公開の『アリス・イン・ワンダーランド』ではないでしょうか。

鬼才ティム・バートン監督と、名優ジョニー・デップと肩を並べる大抜擢です。

前作の『アリス・イン・ワンダーランド』は、ルイス・キャロル原作『不思議の国のアリス』の続編を、ティム・バートン監督が圧倒的な世界観と映像美で映画化した作品でした。

成長したアリスが迷い込んだのは、幼い頃にも訪れた、不思議だらけのワンダーランド。

現実社会での問題に悩み、自分自身を見失いそうになっていたアリスは、白うさぎの先導により「ワンダーランド」へ足を踏み入れたのです。

そこは以前と同様、不思議の国に変わりありませんでした。

でも、幼い頃と異なるのは、赤の女王による恐怖の統治が、住人たちを苦しめていたこと。

ワンダーランドの住人たちは、幼かったアリスこそが救世主と信じて待っていました。
だから、成長してしまったアリスは、受け入れてもらえません。

アリス自身も、ワンダーランド内では現実社会と同じように、自分の役割やすべきことを見出せずにいました。

そこで出会ったのが、奇天烈だけれども繊細な心の持ち主、マッドハッター。
彼だけはアリスをアリスと信じ、アリスは自身の葛藤を振り払い、役割を見出して赤の女王に立ち向かいます。

そしてアリスは、ワンダーランドで困難を乗り越えることで、自分自身のあり方に自信を取り戻したのです。

アリスを演じた当時のミアさんは、作中のアリスと同世代。
夢や人生についての迷いに、立ち止まりやすい世代でした。

当時のインタビューで、ミアさんはこう語っています。

私は今回の19歳のアリスと同世代だから、彼女の気持ちがすごくよく分かった。
出典:http://eiga.com/movie/53230/interview/3/

現在進行形のできごととして、アリスの悩みや不安を共有していたミアさん。だからこそ、等身大のアリスを演じきることができたのでしょう。

さて、公開当時から現在にかけて、根強い人気を誇る『アリス・イン・ワンダーランド』の公開から6年。

2016年の今年、成長したアリスとワンダーランドの仲間たちとの、新たな冒険が公開されます。

そのタイトルは、『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』。

今回もまた、アリスはおとなの女性へと成長するにあたって湧き出た迷いを抱きながら、現実社会で暮らしていました。

その悩みは、わたしたちにも覚えがあるもの。
時間に追われる多忙な毎日。そんななかに、仕事に結婚、家族のことなど、身近なことががんじがらめになって襲ってくるのです。

でも、悩みや不安だらけのアリスではありません。
今作のアリスは、亡き父が残した船「ワンダー号」の船長として、3年に渡る航海に向かう勇敢な女性へと成長をしています。

航海中に見舞われた困難を、聡明な頭脳と機転で乗り切り、頼もしさを感じさせるほどです。

不可能を可能にする方法はただひとつ できると信じることよ
出典:アリスのセリフより

若き船長として力強い言葉ですが、彼女にはひとつだけ、認めたくないもの、信じたくないものがありました。

それは、3年にも渡る航海から戻ったアリスを待ち受けていた、社会の大きな変化のなかで、より明確になります。

時間というのはとても残酷ね まるで意地悪な人みたい
出典:ヘレンのセリフより

夫を亡くし、悲しい過去に囚われた母ヘレンの言葉対して、アリスも言います。

本当に嫌な奴 泥棒よね
出典:アリスのセリフより

そう、今回のアリスは、時間に囚われていました。

過去を変えなければ、今を変えることはできない。
けれども現実的に、そんなことは不可能です。
時間は常に過ぎていくものなのですから。

だから、時間を恨んでいるのです。

次々にやってくる難題も、ほんの少し前の時間に遡ることができれば、回避できるのに……。

時間を「大切なモノを奪う」モノだと思っているアリスは、前に進み続けなければならないのに、過去に足を引っ張られてしまいます。
今のアリスにとって、時間とは意地悪な存在なのです。

時間に囚われていたのは、アリスだけではありません。
ワンダーランドで暮らす、マッドハッターもまた、過去の悲劇を思い出し、深く胸を痛めて床に伏せていました。

アリスの心の友、マッドハッターの危機を知らせに来たのは、3年前にワンダーランドで出会ったアブソレム。
以前は芋虫でしたが、再会したアブソレムは、美しい青い羽を持つ蝶へと羽化しています。ワンダーランドでも、時は流れていたのです。

マッドハッターの危機の知らせに、鏡を通り抜けワンダーランドへ向かったアリスが見たものは、生きる気力を失いかけた、衰弱したマッドハッターの姿でした。

アリスは彼の危機を救うべく、白の女王に助言を求めるのですが、救う方法は以前にも増して危険なものでした。

今回ミアさん演じるアリスは、時間を恨めしく思う女性として登場しました。父を亡くした悲しみを埋めるためには、過去に起こった悲しいできごとが起こらぬように、歴史を変えなければならない。ですが、それはできません。
過去には戻れないのに、時間はどんどん未来へと針を進めていきます。

過去に悲しいできごとが起きなければ、父との思い出は現在も作り上げることができます。時間は、過去も、現在も、未来も奪う憎き存在として、アリスの中に根付いてたのです。
現代社会に生きるわたしたちにも、過去に囚われて前に進めなくなったり、立ち止まりそうになることがあるのではないでしょうか。
でも、過去を言い訳にして良いのでしょうか。
アリスやマッドハッターとともに、時間について考えてみませんか?

(たまさき りこ)

▶▶【中編へ続く】
大切なものは過去か未来か 『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』から学ぶ、時間の大切さ【中編】

【参考記事】
映画.com

〈 次回は7月2日(土)更新予定です 〉

新たな “視点” で、
昨日よりもちょっといいワタシに。
―――― eyes.+

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