「好き」を求めて挑戦を繰り返す。人気パティシエ柿沢安那【前編】

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出典: http://books.rakuten.co.jp/RBOOKS/pickup/interview/kakisawa-aya/

今回は、柿沢安那さんが歩んできた、世界初の野菜スイーツ専門店をオープンするに至るまでの道のりをたどります。

ワタシのあの頃
フランス料理に興味を持ち、本場フランスへ留学。しかし、自分の求める料理のありかたとは、何かが違う

 東京の世田谷で生まれ育った柿沢さん。畑や田んぼなどの自然とは無縁の環境でした。しかし、母が青果店に勤めていたこともあり、さまざまな野菜に見て触れる機会がありました。のちに、柿沢さんが、野菜の持つパワーや自然のエネルギーを汲み取ることができたのは、幼い頃の経験が反映しているのかもしれません。

 また、幼い頃読んだ絵本がきっかけで、なぜか「豚」好き。ある日、フランスでは豚を使ってトリュフを探すことを知り、興味を持ちます。

 何気ないきっかけがつながり、なんとなくフランスの文化や料理にアンテナが向き、大学では仏文学を専攻。在学中には、料理を学びに2度フランスへ短期留学を果たしました。しかし、そこで、フランス料理は自分には向かないことに気がつきます。
 もともと肉は苦手で、野菜好き。高級食材を使い、見た目の美しさ重視するフランス料理を続けることは、自分には合わないと感じ始めます。

私が女性としてできることはなんだろうって考えたときに、もっと家庭的な温かい料理で、食べた人が健康になれる、元気になれる料理をつくれたらいいなって思ったんです。
出典: https://www.dinos.co.jp/hotdinos/antenna/interview/080513/ – 1

 料理の世界へ踏み込むことはあきらめ、大学卒業後は、パティシエの修行を始めます。しかし次第に、バターや砂糖やクリームを大量に使うことに、「これははたして体にいいことなのか?」と疑問を持ち始めるようになりました。

 ちょっとしたきっかけで好きになったことを素直に受け入れ、まっすぐに追求してきた柿沢さん。自分が感じたことに対して正直であることの大切さを教えられます。
 疑問に思ったことには目を伏せず、ひとつひとつ答えを出す。柿沢さんの決断に、無理だと思うことは潔くあきらめる強さを感じます。

変わったきっかけ
食は生命の原点。マクロビオティックはわたしの探していた道

 自身も子供の頃から体力が弱いこともあり、「食べ物によって、もっと体が強くなったり、心が元気になるにはどうしたらいいのだろう?」と模索する日々が続きました。そこで、出会ったのが、マクロビオティックや自然食の考え方でした。
 
 みるみるうちに、体や肌の調子が良くなり、改めて食の大切さを実感します。

知ったときには「これだ!」と思いましたね。私が考えていた〈身体のなかから元気になる〉ということは、調理法以前に、食べ物の原点までさかのぼって、農薬や肥料を一切使わず、自然のなかできちんと育てられた〈食材〉であることがまず大事なんだと。
出典: http://www.manabinoba.com/index.cfm/6,11731,12,html

 
 マクロビオティックを本格的に勉強し、体がどのように変化するか、自ら実践を続けました。しかし、マクロビオティックの考え方では、肉や魚はもちろんだめ、乳製品や卵の摂取もだめ。ストイックな食事制限で、好きなものを食べられずストレスが溜まり、人との外食もできなくなり、限界を感じます。
 
 また、フランス料理を学んだことで知った、「食はアート」という概念の大切さを思い出しました。食べることは、単に食欲を満たすだけではなく、人生を楽しむこと。体が健康になり、食そのものを楽しむためには、ゆるく、長く、中庸であることが、自分には合っているのだと発見しました。

私も何度か方向転換しましたが、大事なのは今「好き」なことを一生懸命やることです。その上で「好き」が変わるのは、より自分にピッタリの仕事が近づいている証拠です。
出典: http://www.13hw.com/interview/30_03.html

 「好き」という純粋な気持ちで、次々とやりたいことを連鎖させて、自分の道を築いてきた柿沢さんの姿に、柔軟で女性らしいしなやかさを感じます。
 決めたことをやり遂げることは大事。でも、無理だと自分で納得したならば、すみやかに舵を切り替える臨機応変さも大切なことなのでしょう。

(永倉佳代子)

▶▶【後編へ続く】
「好き」が食へのこだわりに導いた。好きを知る秘訣とは。人気パティシエ柿沢安那【後編】
〈 次回は5月29日(金)更新予定です 〉

新たな “視点” で、
昨日よりもちょっといいワタシに。
―――― eyes.+