歌手生活50周年を迎えたいまこそ、全力で生きたい。シンガーソングライター加藤登紀子【前編】

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加藤登紀子ほろ酔い2012
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「ひとり寝の子守唄」や「知床旅情」で知られるシンガーソングライター・加藤登紀子さん。最愛の夫である藤本敏夫氏と獄中結婚したことでも知られています。今回は歌手人生50年目を迎えた加藤さんの生き方を見つめます。

ワタシのあの頃
夫・藤本敏夫氏と運命的な出会いを果たす

 加藤さんは旧満州ハルビン生まれ。敗戦後、加藤さんの母親は娘を連れて、大変な思いをしながら日本に帰国して、洋裁の仕事で家計をやりくりしながら、彼女を育てあげました。
 
 加藤さんは、大学在学中にシャンソンコンクールで優勝したのを機に「誰も誰も知らない」でデビュー。その後、日本を代表する名曲「ひとり寝の子守唄」で日本レコード大賞歌唱賞を受賞。

 そして、当時、学生運動の旗手として活動していた藤本氏と出会い、いつの間にかお互いを気にかけるように。
 歌手人生50年目を迎えた際には、夫との出会いをこう振り返っています。

「今年で歌手生活50年。夫との出会いがなければ『ひとり寝の子守唄』は生まれなかったし、私が『知床旅情』を歌うこともなかった。彼との出会いは、女性としてもそうだけど、歌手としての私にとってもかなり決定的なものがあった。彼は、私にとって決定的な人でしたね」
出典: http://jisin.jp/news/2660/8066/

 歌手としても一人の女性としても、大きな存在であった夫の藤本敏夫さん。彼と真剣に向きあえば向き合うほど、歌手としても花を咲かせるようになったのです。
 しかし、安保闘争後、藤本さんは学生運動のリーダーだったことから実刑判決を受けることに……。人気歌手として注目を浴びる中、加藤さんは「獄中結婚」という手段に踏み切り、世間を驚かせました。

 彼女の歌手活動には一切口を出さなかったという藤本さん。あえて無関心でいてくれたと、彼女はゆっくり振り返りながら、しみじみと語っています。

「彼は、私にあれこれ言う人ではなかった。新しいレコードやCDが出るたびに『はい、これ』と言って渡していたけれど、聴いたかどうかもわからない。コンサートも、ちらっと来るけど『よかった』とも言わないし、できるだけ無関心でいようとしていたみたい」
出典: http://jisin.jp/news/2660/8066/

 結婚後、3女に恵まれ、歌手としても軌道にのり、これからもこの幸せが続くに違いないと思っていた矢先、2002年に藤本さんが肝臓がんで死去。加藤さんは、亡くなった悲しみを味わう暇もないほど、多忙を極めました。

 
そんな彼女を支えたのは、藤本さんが残したある宝物だったのです。

変わったきっかけ
夫が残してくれた宝物が生きる支えに

 生前から藤本さんが力を入れていた「鴨川自然王国」。夫の死後は、なんと加藤さんと娘・yaeさんが運営を引き継ぐかたちに。
 最近はゴスペラーズなど若いミュージシャンとの共演も多い加藤さんですが、精力的に動けるのも「鴨川自然王国」があったからこそと語っています。

「どっさりやらなきゃいけないことができたから、ぽっかり心に穴が空くっていう感じではなくて。しかも歌手になった娘(yae)がここの主になったので、若い人たちがどんどん集まってくるようになって、この時期からですよ。若い世代のミュージシャンとたちの出会いが増えたのは。」
出典: http://www.oricon.co.jp/special/47297/2/

 「鴨川自然王国」の引き継ぎに追われていたとはいえ、最愛の夫の死を悲しんでいないはずがありません。その頃は、それまで彼との思い出をかみしめながら歌っていた曲も歌えなくなり、歌手として今後の方向性について悩む時期でもあったそうです。
 そんなとき「鴨川自然王国」に集まってきた若いミュージシャンとの出会いが重なり、新しい曲で再起することを決意。アルバム「花筐」の制作や2006年には『FUJI ROCK FESTIVAL』にも出演。夫の死をゆっくりと乗り越えるように、精力的に活動していきました。

 加藤さんは、悲しみから乗り越える瞬間を後にこう表現しています。

「やっぱり夫が他界したことは衝撃で、結婚のときもそうだったけど、大きな変化があるとその前の曲って歌いにくくなるんですよ。特に夫との思い出が絡むような歌はどうやって歌ったらいいんだろう?って、しばらく歌えなかった。でも、ここで奮起しよう、新しい曲で再起しようって」
出典: http://www.oricon.co.jp/special/47297/2/

夫の死を乗り越え、デビュー50周年を迎えた彼女の目には今、何が映っているのでしょうか。
(Erica Yamaguchi)
▶▶【後編へ続く】
亡き夫はいまでも支え。わたしには、まだやり残したことがある!シンガーソングライター加藤登紀子【後編】
〈 次回は5月20日(水)更新予定です 〉

新たな “視点” で、
昨日よりもちょっといいワタシに。
―――― eyes.+