今日から実践! 戦国の良妻賢母・山内千代に学ぶ「夫育て」の奥義【後編】

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▶▶【前編を読む】:夫の出世は嫁次第? 戦国の良妻賢母・山内千代に学ぶ「夫育て」の奥義【前編】”

 流浪の貧乏武士時代を乗り越えて、夫を一国一城のあるじに育てた良妻賢母、山内千代。前編は、貧乏青年武士だった山内一豊に嫁ぎ、知恵と機転で夫を助け、立身出世を支え続けた千代の「内助の功」について見つめました。後編は、彼女の本当の賢さから、今に活かせる「夫育て」のワザについて学びます。

ワタシの信念
夫の気持ちを読み、愛をつかみ続けた千代。夫を手のひらで動かす本当の「賢さ」とは

 激動の時代を戦い抜き、一豊はついに土佐二十四万石の大名になりました。千代は夫を一国一城のあるじにするという夢を実現したのです。
 凡庸な男を見事に育て、大大名にまで仕上げた千代には華々しいエピソードがたくさんあります。しかし、その人生は決して順風満帆なことばかりではありませんでした。
 なかなか子宝に恵まれず、やっと生まれた姫も天正の長浜大地震で喪います。
 たぐいまれな仲良し夫婦として知られたふたりですが、土佐藩主となった後、一豊が先に他界します。ひとりになった千代は、姫の菩提を弔いながら京都で静かに暮らし、亡くなりました。

 千代はとても賢い女性でした。頭の回転が速く、情報に敏く、何度も一豊の危機を救い、チャンスをものにさせたと言われています。
 でも、才気ばしった女性は、とかく男性にうとましく思われがちなもの。男尊女卑の戦国時代では特にそうでしょう。
男の世界は、虚栄の市(いち)である。」(『功名が辻』(一)文春文庫 30p)と、司馬遼太郎も語っています。
 千代が聡明だったのは、その賢さを決して鼻にかけず、常に可愛い女で居続けたことです。

「そなたはいつまでたっても子供だな」
「だから、いつまでたっても若くてきれいだといわれるのではありませぬか」
(中略)
「一豊様はそうお思いにならないのでございますか」
出典:『功名が辻』(四)司馬遼太郎 著[文春文庫]

 いつまでも若く、時におてんばな一面や、おちゃめな一面を見せ、一豊の心をとらえ続けました。
 ともすれば鼻持ちならないと思われがちな「賢さ」を、千代はキュートな愛らしさというオブラートで柔らかく包む知恵を持っていたのです。

 つらい境遇や悲しいことに出くわしても、千代はくよくよオロオロと陰気な顔を見せることはありませんでした。
 厳しい台所事情も、知恵を活かした節約術で上手に乗り切り、名馬を買うほどのへそくりもしっかりキープします。彼女が笑顔でいられる余裕は、こうした積み重ねから生まれているのでしょう。
 一豊は、戦場や政治など、常に厳しい立場にさらされています。家庭に戻ればいつも、ほがらかに笑う妻が出迎えてくれる――こんなに嬉しいことはなかったでしょう。

「妻が陽気でなければ、夫は十分な働きはできませぬ。(中略)陽気になる秘訣は、あすはきっと良くなる、と思いこんで暮らすことです」
出典:『功名が辻』(一)司馬遼太郎 著[文春文庫]

 また、情報や機転をストレートに助言することはなく、常に「伝え方」に気をつかう女性でした。
 一国一城のあるじを目指すほどの男性なら、誇り高いもの。女性がいくら賢く、よいアイデアを持っていても、正面から意見を言っては男の意地が邪魔をして受け付けられないこともあります。
 「能力を振りかざす可愛げのない女」と思われては、パートナーとしての信頼関係も失い、また愛情も冷めてしまいますよね。
 千代は、夫の顔色や溜め息、行動を常によく観察し、心を巧みに読みました。自分自身の人間関係を広く持ち、視野を広げて、
「今、夫がどんな窮地に立っているか」
「どんなチャンスをつかみかけているか」
を察することに長けていました。
 そして、一番大切なことに夫が自分自身で気付けるよう、的確でさりげないアドバイスをちょっとした会話の中に潜ませたのです。
 夫の自信や自尊心を伸ばすことは何より重要です。
千代はそれだけでなく、「千代との会話は楽しくて心が晴れる」「千代と話すと良いアイデアが浮かぶ」と思わせることで、夫の愛情を一身に受け続けました。
 高知土佐の二十四万石は、まさに夫婦で築き上げた愛情と信頼の城だったのです。

 現在、夫に対して妻が求めるものは多様化しています。「出世してほしい」「成功してほしい」という壮大な夢だけでなく、「もっと家事を手伝って」「育児に関わって」という不満も多いですよね。
 末代まで伝説として語られるような内助の功を発揮する機会は、少ないでしょう。
 でも、「お風呂はやっぱりあなたが掃除してくれた方がキレイになるわ。ありがとう」「パパが遊んでくれると、子供たちが夜よく寝てくれるの。本当にパパのことが大好きなのね」など、さりげない声のかけ方ひとつで、夫が気持ちよく動いてくれるようになるかもしれません。
 一緒に暮らすと楽しい。一緒に生きると幸せ。そんな夫婦を目指して、「夫育て」を始めてみませんか。
(こうのまちこ)

キラリと輝く名言

男というものはいくつになっても子ども。生涯、子を育てるようなつもりで夫を育ててゆけばよいのよ。

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新たな “視点” で、
昨日よりもちょっといいワタシに。
―――― eyes.+