「あなたは、あなた。」レディー・ガガの“自分を好きになる”ための白熱教室【前編】

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 今回は、度重なる苦難の中で自分の存在価値を見出した歌手、レディー・ガガさんから、前を向くための秘訣を学び、見つめます。

ワタシのあの頃
素直な自分を見つけるまでは、何度でも生まれ変わるの。いじめに抵抗できなかったお嬢様と音楽

 レディー・ガガさんは奇抜なファッションと、メッセージ性の高いパフォーマンスでワイドショーを賑わせている、アメリカのポップシンガーソングライターです。過去に、生肉ドレスで世間を驚かせましたよね。
 
 そんな派手なパフォーマンスで、ガガさんは何を訴えようとしているのでしょうか。少しだけ過去を覗くと、過酷ないじめにあっていたことがわかります。
 
 名のある先生のもとでレッスンを受け、音楽のセンスは若いうちから評価をされていました。でも、11歳で音楽系の学校に合格したときには、専門的に音楽を学ぶ気持ちがありませんでした。
 代わりに入学したお嬢様学校での生活は、悲しい日々でした。周囲と馴染めず、いじめのターゲットとなってしまったのです。
 17歳で早期入学を果たした、ニューヨーク大学芸術学部でも、大胆奇抜なファッションが目を引いたのでしょう。執拗ないじめに遭い、薬物依存に陥るほど追いつめられてしまいました。
 このときに負った心の傷は、現在の作品や、レディー・ガガというアーティスト名を名乗る理由に、深く関係しています。

私は、というかステファニー(本名)は、絶え間なくひどく苦しんでいるアーティストなの。だから名前を変えたのよ。私は人前ではステファニーにはなれない。彼女は滅茶苦茶になってしまうもの
出典:http://news.walkerplus.com/article/41107/

 
 ショーパフォーマンスに魅せられたのも同時期でした。当時大人気だったブリトニー・スピアーズさんに触発されて、薬物を断ち切って芸能を極める決意をしたことで、世界中のファン・リトルモンスターを率いるレディー・ガガを生み出したのです。

(中略)生きるということは1度に限ったことではなく、何度も生まれ変わるということだと気付いたの。自分の中の最も正直な自分を見つけるまで、人は何度でも生まれ変わることができるの
出典:http://www.mtvjapan.com/news/music/19331

 近年のガガさんは、19歳のときに性的暴行被害にあったことを告白しています。セラピーに通い、4年以上の時間を痛みと向き合うことに費やし、ようやく打ち明けられるようになったそうです。

長い間誰にもこのことを話さなかったし、自分自身でそのことに触れるのもとても長い間避けていた。だけど時間がたって、お酒やドラッグに逃げても解決しない。ちゃんと向かい合わなきゃ、これは解決できない、と思うようになりました。
出典:http://www.huffingtonpost.jp/2014/12/04/lady-gaga-reveals-she-was-raped-_n_6267958.html

 苦痛と向き合うには、また苦痛を味わうことになります。
 でも、ガガさんは薬物やお酒などの誘惑を断ち切り、向き合うことを選びました。
 音楽と、活動に関わる仲間の存在があったからです。そして、弱くて傷だらけになったステファニー(本名)と、息苦しさを感じている世界中の小さなモンスター達に手を差し伸べる存在になろうと、レディー・ガガとして生まれ変わったのです。

変わったきっかけ 
悩みを抱える小さなモンスターへ捧げる音楽は、世界に広がり、心に響く

 ガガさんは、ニューヨーク大学を卒業することなく、20代を迎えました。作曲者としてインタースコープ・レコードと契約をして、有名シンガーに楽曲を提供していたある日、同じ制作スタッフはガガさんの歌手としての可能性を認めました。
 デビューアルバム『ザ・フェイム』の発売に向けて、作詞作曲に専念。渾身の一作は、世界で1200万枚以上の売り上げを記録しました。

 ようやく明るい世界に飛び出したガガさんを、マスコミは放ってはおきませんでした。他のアイドル系アーティストとは違う、奇抜なパフォーマンスを、面白おかしく報じたのです。
 それでもガガさんは、悲しいいじめから抜け出したことで得た、自分のあり方を崩さずに乗り切ります。

 なぜ、人と違うことをするのかと問われる機会が増えても、胸を張れるのです。

自分の人生の全てがパフォーマンス・アートだと思っているし、自分は全ての瞬間、舞台に立っていると思っているわ
出典:http://www.mtvjapan.com/news/music/19331

 奇異の目で見られることがあっても信念を貫く姿はファンを増やし、ガガさんは、悩みを抱える人々の代弁者となったのです。

私が現実と空想の狭間で生きているということを、半分人間の女性、半分機械というイメージで自ら表現しているのよ。また、自分が今となっては単なるシンガーではなく、ファンの声を代弁する媒介(乗り物)であるということも表現しているの
出典:http://www.mtvjapan.com/news/music/19331

 
 デビュー後に発売するシングル、アルバムは人気を博し、世界ツアーのチケットは完売するほどのビックスターへ成長。活動の場が広くなれば、話題になりやすいものです。ガガさんは常に自分をパフォーマーだと位置づけ、世界で問題が起きれば真っ先に意見を述べるなど、若者を中心に強い影響力を持つようになりました。

 自分をさらけ出すことで、誹謗中傷、誤解も生まれます。それでも、発信することで誰かが救われるのならばという、優しさを持ち続けているのです。

 2011年の東日本大震災直後、多くのアーティストたちは、地震の影響を恐れて来日を取りやめました。しかし、ガガさんは、不安に怯えるわたしたちを励ますために、予定通り来日しました。

私が言いたいのは、この辛いときに、落ちてきたレンガや倒れてきた木材のすべてを災害の残骸だと思わずに、それらを拾い集めて家を建て直そう、ということです。
出典:http://www9.nhk.or.jp/kabun-blog/800/88368.html

 誰よりも傷ついたから、誰よりも優しいのかもしれません。

 いかなる状況でも、ガガさんは世間にどんな姿で映っているのか、理解しています。だから、批判も予測し受け止めていますし、根も葉もないことについては「NO」とはっきり言える強さがあります。
 そして、日常の中で弱音を吐けなかったり、辛い経験をカミングアウトできないリトル・モンスターたちの代弁者だと述べている通り、自身の経験で感じたことを歌詞の中に盛り込んでいます。
 とても派手なパフォーマンスを披露しますが、根は繊細で情に厚く、今でも自分と戦っているのです。

(たまさき りこ)

▶▶【後編へ続く】:「自分自身の味方でいること」レディー・ガガの“自分を好きになる”ための白熱教室【後編】

新たな “視点” で、
昨日よりもちょっといいワタシに。
―――― eyes.+