「私は“死ぬ日”ではなく、“生きる日”を決めたのです」ブリタニー・メイナードの尊厳死の意味

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 今回は闘病の末、29歳という若さで自ら「死の日」を選択、公表してこの世を去った、ブリタニー・メイナードさんの生死観を見つめます。

ワタシのあの頃
愛する夫との幸せな新婚生活。子どもの誕生を夢見た日々

 海外でボランティア生活を営み、登山に挑戦するなど活発な性格のメイナードさんは、1984年アメリカ・カリフォルニア州で生を受けました。2012年9月、良き理解者であるダン・ディアスさんと結婚。美しい花嫁姿で万遍の笑みをみせる、明るい女性でした。

 しかし、結婚して間もない2014年初頭。幸せと希望に満ちあふれた彼女に、末期の脳腫瘍が宣告されます。

最初は、何かの間違いであればいいと思いました。
出典:http://huff.to/1sQ9HRh

 治療法を求め、数ヶ月に渡り様々な検査を受けた結果、最終的に告げられたのは、余命6ヶ月という辛い現実でした。

死にたくない。だけどわたしはもうすぐ死ぬの。それならば、自分が納得いく死に方をしたい。
出典:http://edition.cnn.com/

 何気なく過ごしてきた日々が、遠い世界の物語のようになってしまう。今まで目にしてきた風景が、見えなくなるかも知れない。大切な人の声や、音楽が聴けなくなるかも知れない。我が子を抱き上げることが、できなくなるかも知れない。考えれば考えるほど、恐ろしくて悲しい。――けれども、それが現実だったのです。

変わったきっかけ
家族に苦しむ姿を見せて負担にしたくない。やりたいことをリストにして

todo list

 ホスピスで自然死を迎えることも見当したメイナードさんですが、自身で病気と治療について調べるうちに、ある結論に達しました。それは、「尊厳死」

 予見では、病巣以外は健康な若い肉体であるため、苦痛に耐える時間が長くなるとのこと。その間に昏睡や麻痺、精神の混乱などが現れる可能性を知り、そうした苦痛をただベッドで耐えるよりも、残りの時間にできることをやって、自分の人生に区切りをつけたいと思ったのです。

この美しい地球で過ごせる時間が、あとどれほど残されているのか分かりませんが、その時間はできるだけ外に出て、大事な人々に囲まれながら楽しみたいのです。安らかに死を迎えることが、わたしの望みです。
出典:http://www.huffingtonpost.jp/

 メイナードさんの夫や実母は、こうした想いを受け入れ、尊厳死が法的に認められているオレゴン州へ移住し、メイナードさんが死を迎えるための準備を進めたのです。

 2014年10月、終末期選択について提唱する団体「Compassion and Choices」の協力を得て、YouTubeで尊厳死を選択したことを宣言。あっという間に話題となり、「死とは何か」を考えさせる大きなきっかけとなりました。勿論、賛否は大きく分かれ、医療従事者や人権団体を巻き込んでの大きな議論が各国で沸き起こります。

 そんな渦中のメイナードさんは、自殺願望をはっきりと否定しています。

私のこの選択に反対している人は、私が”自分で死ぬ日を決めている”という大きな誤解をしています。そうではありません。私は”生きる日”を決めたいのです。
出典:http://www.huffingtonpost.jp/

 苦痛からの解放のために行う医療的処置、薬剤処方は自殺幇助となるのか――。日本でも多くの声があがりました。「一分でも生きられる時間を信じて生きるべきだ」という尊厳死反対派の意見と、「本人の意思の尊重」に賛同する意見、どちらも置かれた立場や状況によって、答えが覆るのではないでしょうか。

 まだ日本では、「尊厳死の選択」はできません。「自然死」以外は「自殺」や「自殺幇助」にあたるのか、倫理観という目に見えないモノが、考える時間を必要とさせています。

ワタシの信念
世界の未来のためにわたしは“生きた”のです

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 2014年11月1日。メイナードさんは自宅二階の寝室で、愛する家族たちに見守られながら、処方された薬を使用して息を引き取りました。数日前には夫の誕生日を祝い、やりたいことリストに加えていた、グランドキャニオンへの旅行も達成しました。

 「尊厳死」は精神的不安や、肉体的苦痛からの解放を望んでのことですが、もしも「死」以外の道があれば、彼女は当然それを望んでいました。

私は死にたくないのです。もし誰かが魔法の治療法で私の命を救ってくれるなら、私はそれを選びます。そうすれば、私は、夫と子供をもつことができるのです。
出典:http://www.huffingtonpost.jp/

 メイナードさんは、遺された多くの人に対して、思い出だけではなくひとつの議題も与えていったのです。

全ての米国の末期患者が、自分の最期を選べるようになるのが夢。
出典:http://www.asahi.com/

 「尊厳死」は死の選択ではなく、生き方のひとつとしての周知を望んでいますが、この夢の実現には、様々な角度から慎重に問題を見つめていかなければなりません。現在もフェイスブックには、彼女の活動に賛同する人々が作ったコミュニティが多く存在し、賛否あらゆる記事を取り上げ、意見を交わしています。

 彼女は悔いなくしてこの世を去ったわけではありません。しかし、メイナードさんは世界を恨まず、希望を抱いて生きました。

さようなら、世界のみなさん。良いエネルギーを広げていってください。次につなげていきましょう!
出典:http://www.huffingtonpost.jp/

 今日を生きることができるわたしたちは、多くのことを考えなければなりません。目の前の生活や仕事、育児だけでも精一杯の日々ですが、世界の片隅で起きている問題は、何かしらの形でわたしたちの人生に関わってくるのです。

 数年後、数十年後。ひょっとしたら数日後——。あなたは、命の期限を告げられたら、残りの日々に何を考え、誰と、どこで、どう過ごしますか?
(たまさきりこ)

キラリと輝く名言

私のこの選択に反対している人は、私が"自分で死ぬ日を決めている"という大きな誤解をしています。そうではありません。私は"生きる日"を決めたいのです。

新たな “視点” で、
昨日よりもちょっといいワタシに。
―――― eyes.+