「どうして私だけが働き方を変えなきゃいけないの?」小室淑恵の“育児も仕事も両方楽しむヒケツ”

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 今回は、人生と仕事が互いに充実させあうという考え方を企業に広める「ワーク・ライフバランス」の経営者、小室淑恵さんの「世界観が変わった瞬間」、そして「育児・仕事を充実させる考え方」のコツを見つめます。

ワタシのあの頃
専業主婦希望から一転、キャリアウーマンへ。育児と仕事が両立する社会を目指し、独立

 専業主婦志望だった女子大生のころ、恩師の猪口邦子さんの「子育てを経験することで生きたアイデアを提供できる存在になれる」という言葉に感銘を受けて、世界観が変わります。猪口さん自身の、キャリアウーマンのイメージをくつがえすフェミニンなファッションそのものが、小室さんにとっては衝撃でした。

人は『いいな、ああなりたいな』って憧れたときが一番変わるんですね。
出典:http://www.huffingtonpost.jp/

 その後、小室さんはアメリカへ放浪の旅へ。ベビーシッターの仕事で、妊娠・出産を機に仕事のステップアップに成功した女性に出会い、衝撃を受けます。キャリアと育児に関する考え方が、ガラリと変わりました。

 こうなりたいと強く願う相手にめぐり会えることは大きな幸運です。「変わりたい」と一歩を踏み出す気持ちになった瞬間から、人は変わり始めるもの。目から鱗という言葉があるように、世界が鮮やかに見えたならもう、人生は変化しているのかもしれません。

 帰国後、小室さんは資生堂に就職。社内のコンテストに応募した、育児休業者の職場復帰を支援するプログラムが優勝します。その後結婚し、独立してワーク・ライフバランスを起業しますが、同時に妊娠が発覚。理解していたはずの「育児の大変さ」という現実の前に疲れ果ててしまいました。

でも、私は長男を産んだ6年前、もう苦しくて苦しくて仕方がありませんでした。
出典:http://www.yomuradio.com/

変わったきっかけ
育児に理解のない夫にぶつけた一言。育児経験で初めて知った、働く母の「後ろめたさ」

 講演の仕事のために小室さんが夫に子どもを預けて一日留守にしたところ、帰宅後夫から「子守が大変で仕事にならない」と文句を言われました。そこで一気に日頃の不満が爆発し、普段考えていたことを夫にぶちまけました。

あなたが今日経験したことを、私は毎日毎日やっているのよ。子供が生まれるまでは同じように働いていたのに、どうして私だけが働きかたを変えなきゃいけないの。
出典:http://www.huffingtonpost.jp/

 しかしその一言から、すべてが変わり始めます。その後話し合いを経て、夫が家事や育児を分担してくれるようになったのです。職場にも変化が訪れました。17時台には会社を出なければ子どもの保育園のお迎えに間に合いません。「経営者なのに夕方退社」という後ろめたさがモチベーションを下げていることに気づき、小室さんは驚きの決断をします。

 社員全員に「定時で帰ろう」と宣言したのです。最初は驚いた社員も、育児ママならではの後ろめたさに気づいたり、自身も妊娠・出産を経験することで意識が変わっていきました。

子供を産んでみて、それまでも十分わかっているつもりだった育児している人の気持ちがまだまだ何もわかっていなかったんだと気づくことができました。
出典:http://www.huffingtonpost.jp/

 小室さんと同じ思いを抱えているママは少なくないでしょう。でも残念ながら、育児を学ぶ場がない日本では、24時間年中無休という女性の過酷な現状はまったく知られていないのです。まずはパパにママの苦痛を話してみましょう。コミュニケーションをとることが、すべてを変える「はじめの一歩」です。

今と、これから
夫も社員も信じて伸ばす。人生を充実させて、育児・介護をしながら仕事を充実させる道を

 小室さんはいま経営者・母親・講師・マーケターという4つの仕事をこなしています。これまでの常識で考えるならすべてが中途半端に終わりそうですが、小室さんはちがいます。それぞれの仕事からたくさんの人との出会いが生まれます。豊かな情報とアイデアを運んでくれるため、1つの仕事で残業するよりはるかに効率が良いそうです。

 また仕事は抱え込むのではなく、社員を育ててみんなで取り組むようになりました。

社員を信じて、育てて仕事を任せるようにしています。常に、自分がいなくても仕事が回るかどうかを考えて、責任ある仕事を任せていけば人は育ちますし、情報をオープンにして抱え込まないようにしています。
出典:http://books.rakuten.co.jp/

 家庭も仕事もコツは同じと小室さんは語ります。自分がたずさわっているプロジェクトを理解することでモチベーションがあがります。経営者と社員、妻と夫が語り合って理解し合い、同じ目標に向かって情熱を分かち合うことで、互いへの気づかいも生まれるのです。

家事・育児を指示してやってもらうのではなく、互いに褒めあって才能を育てるのが基本ですね(中略)おむつ替えなどの作業だけ切り出して任せるのではなく、家庭のきりもりという壮大なプロジェクトの全容を知らせて、信じて任せることが大事です
出典:http://books.rakuten.co.jp/

 今後は育児だけでなく、介護と仕事の両立が焦点になると小室さんは考え、すでにプロジェクトを進めています。ライフとワークは割合の問題ではありません。人生を充実させることで仕事も充実していくもの。相互が高め合いながらなめらかに回るという夢のようなスタイルを実現しているのが、小室さんが考えるワークライフバランスなのです。

 かつては自分の人生よりも仕事を優先していた小室さん。私たちも、仕事や育児の忙しさに振り回されることがよくあります。でも、「自分の人生に向き合う事」から目をそむけるために、仕事や育児を言い訳にしていることはないでしょうか。退職したとき、子どもが巣立って行ったとき、胸を張れる「自分自身の人生」が残るように、忙しい“今”を大切に、充実させたいものですね。

キラリと輝く名言

あなたの人生の評価をするのは、家族であって、会社じゃないですよ。

新たな “視点” で、
昨日よりもちょっといいワタシに。
―――― eyes.+