「結婚したら仕事を辞める、それが私という女の生き方です」大スターから主婦の道へ英断した、山口百恵

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出典:ももぶろ

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 今回は、売り上げたシングルは1630万枚、LP434万枚と絶頂期にありながら、俳優三浦友和さんと結婚し、引退した女性、山口百恵さんの、引退後30年たつ今でも、色あせない魅力を見つめます。

ワタシのあの頃
オーディションで勝ち取ったデビュー。自身がどんどん自分の個性を引き出していった

 1972年に、オーディション番組『スター誕生!』で準優勝し、20社 から指名を受け芸能界入り。年齢が低くビジュアル面でも純朴な少女が大胆な大人の世界を歌うことで、「青い果実」「ひと夏の経験」などが次々と大ヒットに。この歌とビジュアルのギャップは所属事務所やレコード会社による周到なイメージ戦略の賜物でもありましたが、何より彼女自身が山口百恵というイメージを作り上げていったのでした。

 当時のスタッフは、こう振り返ります。

「テレビや映画での演技、読書や海外のアーティストの音楽などから色々なことを吸収し、レコードを1枚出すごとに上手くなっていきました。それは、テクニックだけが上手くなっていったということではなく、自然な形で百恵自身の存在感がどんどん大きくなっていき、僕らスタッフでも気圧(けお)される-気分的に圧倒される-ようなところが、他の歌手にはあまり感じなかったところだと思います
出典:http://gakken.jp/ep-koho/?p=472

 与えられた役割をこなすだけではなく、彼女は、常に自分自身や自分の置かれた状況を、冷静に第三の目で見つめ続けていたように見えます。着るものの色や型によって、気持ちががらりと変わり、歩き方から言葉遣いまで違ってしまう自分に気が付き、仕事によって着る服を選んだり、髪型を変えたり。自身をプロデュースして「山口百恵」像を作り上げていったところも大きかったのではないでしょうか。
 
 また、勝手に作られたイメージと本当の自分の姿とのギャップに苦しみながら、心の奥底で静かに闘っている女性でもありました。どんな人でも、自分が勘違いされていると感じ、理不尽な思いをした経験があるはず。だからこそ、人々は彼女に魅かれていったのでしょう。

変わったきっかけ
21歳、絶頂期の中の完全引退。彼女は一人の女性としての幸せを選んだ

 映画『伊豆の踊子』で共演した相手役の三浦友和さんとは、彼女の主演映画13作のうち12作も共演。二人はゴールデンコンビと呼ばれました。そして、1979年のリサイタルで、突如「私が好きな人は、三浦友和さんです」と発表。婚約発表での引退発表は、世間に衝撃を与えました。まだ21歳という若いトップスターの引退。世の中は女性進出が進み始めた時代でもあり、絶頂期にも関わらず突如として家庭に入ることに否定的な意見も多かったのです。

「結婚したら仕事を辞めよう」
あの時にはまだ、ふたりの間で“結婚”という言葉を、正式に取り交わしていなかった。ただ、このままいけば私は多分、この人と結婚するだろうとだけ、漠然とだが予感していた。やっぱり、仕事を辞めよう・・・ある日突然に私の心に浮かんだ結論。直感としか言いようがなかった。
出典:http://www.geocities.jp/

 彼女はこの直観を信じて、自分のこれから先の人生を決定しました。「女優・歌手」の山口百恵としてではなく、一人の女性としての「山口百恵」を選んだのです。彼女は、世の中の、引退に否定的な意見に関しても、自分の意見をしっかり述べています。山口百恵という女性の魅力は、しっかりとした自分自身の考えをもち、世間に媚びなかったところにあるのかもしれません。

 彼女は、自叙伝「蒼い時」で、こう綴っています。

仕事でも家庭でも恋人でもいい。生きている中で、何が大切なのかをよく知っている女性こそが自立した女性なのだ。
出典:蒼い時 文庫編集部(山口百恵著)

 絶頂期の中での引退に「あなたのせいで、女性の地位は10年前に逆戻りした」、「たかが男のために、その身を滅ぼそうとしている」などと批判されながらも、彼女の思いはブレることがなかったのです。
 
 男性社会の中で声高に「私は自立する女よ」と肩ひじ張って生きなくとも、「家庭の中にも自立の道はある」と言いきることのできる潔さ。世間が「堕落や逃げ」だと決めつけている「スターから家庭への転落」というものに、新しい光を当てたのも彼女なのではないでしょうか。

ワタシの今、そしてこれから
これからも大事に家を作っていきます

 息子の三浦貴大は、一度も両親のけんかを見たことがないといいます。

私たちも機嫌の悪い時もある、そんな時は私たちにはひとつの決まりがある。・・・順番に天使になる、つまりトラブルが起きた後、どちらが間違っていようとも、いつも一方が引いて間違いを認めれば、お互い幸せでいられる。
出典:http://chinesenews.no-mania.com/

 また、2012年の路上インタビューでも、山口さんはしっかり「今」を生きており、芸能界カムバックはまったくないことがうかがえます。

家のことしかしてませんから。・・・今まで通り、普通にやっていきます。ああしたい、こうしたいというのはなくて、何かあれば、主人に相談しながら、大事に家を作っていきたいと思っています。http://www.youtube.com/

 一見「地味」ともとられがちな「主婦」という仕事をしっかりこなし、夫や子どもたちを支えている山口百恵さん。それは、彼女の中にある「家庭」というものに対する考え方に、しっかりした基盤があるからにほかなりません。
 
 「家庭」を自分の世界をしっかり確立できる唯一の場所ととらえ、主婦ほどむずかしい仕事はないのではないかと考えているからこそ、そこに真剣に生きようと思う。過去の栄光とすっぱり決別した潔さがそこにあります。
 
 彼女には「凛とした美しさ」が漂い、言葉のはしばしに聡明さが漂います。それらが引退後30年を経た今でも我々の心をとらえて離さないのではないでしょうか。

(山庭さくら)

キラリと輝く名言

仕事でも家庭でも恋人でもいい。生きている中で、何が大切なのかをよく知っている女性こそが自立した女性なのだ。

新たな “視点” で、
昨日よりもちょっといいワタシに。
―――― eyes.+

【山口百恵さん 関連名言】
本当に、あたしのわがまま許してくれてありがとう 幸せになります
仕事でも家庭でも恋人でもいい。生きている中で、何が大切なのかをよく知っている女性こそが自立した女性なのだ。