アート好き中学生から「ほぼ日漫画大賞」受賞! 異例のデビューを果たした今日マチ子の継続力

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 今回は、Webマンガがまだ珍しいころ、自らのブログ「センネン画報」で1ページマンガを配信、その反響で、デビューを果たした異例の漫画家、今日マチ子さんの「継続力」、そして「彼女の作品が世の中を引きつけてやまない理由」を見つめます。

ワタシのあの頃
アートが好きな学生時代

 美大を目指したのは中学3年の時。ぼんやりと「アートの勉強をしたい、アーティストになりたい」と思っていました。当時から、漫画もどきを描くのは好きでしたが、熱心に描いていたわけではありませんでした。高校時代は予備校で画力を磨き続け、そして現役で美大に合格しました。

 マチ子さんは、同じ中学高校の先輩である、辛酸なめ子さんのスタイルにずっと憧れていたそうです。在学時期はかぶっていませんでしが、思い切って連絡してみると、会ってもらえることに。実際になめ子さんに会い、「自分も何か始めたい」と触発されます。そこで思いついたのが、フリーペーパー「Juicy Fruits」の発行でしあt。

 大学の通学時間にひたすら描き続けました。取材・執筆・イラストをすべて一人で担当。土日は自ら取材に赴き、ネタを仕入れたそうです。この「Juicy Fruits」は大学卒業まで続けました。

別に努力家でもないし、“継続は力なり”という言葉を信じているわけではまったくないです。(中略)突然素晴らしい大作を作ることはできないし、そういう才能がないってことは自分が一番よくわかってたんです。でもこの新聞のように小さなものでも、それを面白くしていけば、いつかは何か見つかるんじゃないかなって、そういう感じなんですよ。
出典:http://white-screen.jp/?p=31138

 なんと「Juicy Fruits」は通算200号まで及んだといいます。「Juicy Fruits」は洗練された新聞、というよりは、親しみやすい新聞。取り上げるネタの幅広さ、そして、何だかクセになるイラスト。この世界観は続けていくことで、徐々に作り上げていったものなのではないでしょうか。

変わったきっかけ
ブログで1ページ漫画をほぼ毎日更新。話題を呼び、人気ブログに

 大学卒業後、しばらくライターやイラストレーターの仕事をしました。何が自分に向いているのかと、模索したのです。その中で、自分が描いた漫画が好評だったということもあり、ブログで『センネン画報』をスタートします。驚くべきは、その更新頻度。ほぼ毎日更新、ひたすら描き続けました。次第に、ファンが増え、口コミが広がり人気ブログになっていきます。

認知されるというのに合わせて、自分の力が次第についていきます。やめてしまったらそうはならなかったと思います。同じことのように見えても、繰り返すことで、ブラッシュアップされていくことが非常に多かったです。
出典:http://tokyomangalab.com/

ただ、何事も継続しないと成就しないので、やめてしまうということは、その人には向いていなかったか、向いていないと言わないまでも、まだその時期ではなかっただけだと思います。
出典:http://tokyomangalab.com/

 イラスト新聞「Juicy Fruits」を辞め、今度はWebで1ページ漫画を始めた今日マチ子さん。その頃、Web漫画はまだ一般的でなかったそうです。そんな中、ほぼ毎日更新し続けた彼女の継続力、そして意志の強さはやはり目を見張るものがあります。「Juicy Fruits」のように、「センネン画報」も続けていく中で、サイトと漫画の世界観、自分のスタイルを、日々ブラッシュアップしていったのでしょう。

今、そしてこれから
人気漫画家に。これからもずっと描き続けていたい――。

 その後、ほぼ日漫画大賞を受賞。2004年から始めた「センネン画報」が出版社の目に留まり、2008年に本になりました。今では、1ページマンガだけにとどまらず、戦争や震災などの深いテーマ性、ストーリー性のあるマンガも描いており、マチ子さんの仕事・才能の幅は広がり続けています。

 自らのこれからについて、マチ子さんは「なにより長く描き続けたい」と話しています。

今日マチ子さんにとって「描く」とは何ですか?
反射、屈折、分解したものをひとつのまとまりに収束させること。叙情と残酷さ。
出典:http://manganavi.jp/

じぶんを永遠のライバルだと思っています。
出典:http://spotlight-magazine.jp/

座右の銘は、わたしまけましたわ。
http://flowers.shogakukan.co.jp/

描けば描くほどうまくなっていくと思っているんです。ずっと描き続けていれば、最新作が一番いい作品になるのではないかと。
出典:http://white-screen.jp/

 “継続は力なり”と、座右の銘を掲げることは簡単です。

 でも、今日マチ子さんの歩き方は違いました。同じことの繰り返しのように見える日々の中で、常に昨日の自分を更新していく、肩肘を張らない「しなやかな意志」の力。たとえ他人には負けを認めても、自分自身に勝ち続けていくというスタンス。それが彼女と、彼女の創り出す世界観が人を惹き付けて止まない最大の理由なのかもしれません。

 これからも、『センネン画報』は育ち続けていくことでしょう。

キラリと輝く名言

同じことのように見えても、繰り返すことで、ブラッシュアップされていく。

新たな “視点” で、
昨日よりもちょっといいワタシに。
―――― eyes.+

【参考記事】

今日マチ子のセンネン画報
Juicy Fruits バッグナンバー
時代と自分を見つめるマンガ家。新作から学生時代まで、伊藤ガビンによる今日マチ子インタビュー!(white screen)
第14回 今日マチ子先生インタビュー(東京漫画ラボ)
今日マチ子への100の質問(クリエイターの気まぐれ連載MAGAZINE SPOTLIGHT)
クリエイターインタビュー 今日マチ子さん(マンガナビ)
インタビュー 今日マチ子先生の巻(月間フラワーズ)